研究内容

 

 多くの病気は遺伝要因(遺伝子のタイプ)と環境要因(生活習慣・微生物など)が複雑に絡み合って発症します。したがって、遺伝要因と環境要因の関係を明らかにすることが病気の発症メカニズムを解明する上で重要となります。私たちの研究室では、遺伝要因として免疫系遺伝子のタイプ、環境要因として微生物などに着目して体質や病気の原因を理解することを目指しております。
 免疫は、私たちの体を守る仕組みであり、免疫レセプターが重要な役割を担っております。免疫レセプターは、免疫細胞の表面に存在し、細胞外からの情報(リガンド)を受け取って免疫応答を調節します。具体的には、免疫レセプターは活性化レセプターと抑制化レセプターに分類されます。活性化レセプターは、非自己の異物(例:がん細胞や病原体)を検知して免疫応答する役割を担います。一方、抑制化レセプターは、自己を認識して過剰な免疫応答を抑制します。興味深いことに、一部の免疫レセプターには非常に大きな個人差があります。例えば、LILRやKIRと呼ばれる免疫レセプターの遺伝子の数には、個人によって大きなばらつきがあります。しかし、これらの個人差が何のために存在しているのかはまだ解明されておりません。私たちの研究室では、免疫レセプターとリガンドの多様性から、個人の特性に合わせた個別化治療・予防を開発し、健康社会を築くための一歩を踏み出したいと考えております。